今日も元気な宇宙メダカ。朝日をうけて金色に輝いています。
前回はメダカが2000匹から選抜され900匹になったところまででしたね。
次の選抜の方法がこれまたすごい。
小型ジェット機にメダカを乗せ、放物線を描くように飛行させ
急降下・急上昇飛行で無重力状態を実現しメダカの様子を観察するというもの。
と言ってもわかりにくいと思いますから
くろまる隊長、ぷちまる隊員に図で説明してもらいましょう。
そして放物線を描いているこの②から③の間が無重力状態となるわけだ」
「④はくろまる隊長の感想でありますね」
メダカたちは水槽に入り、研究者のヒザに抱かれて…ではなく
ちゃんと実験用に開発された宇宙実験用飼育容器とラックにセットされました。
そしてこの放物線飛行で約20秒間の無重力状態が作り出せましたが
やはりメダカは耐えられず、グルグル回る行動を続けたそうです。
「う~ん、ガッカリ…(研究チームのタメイキ)」。
しかし何回もの航空機実験を行ううちに、無重力でも普通に泳ぐメダカが現れました!
「研究者の方々は喜んだことだろうな」
「思わずバンザイした方もいらっしゃったかもしれませんね」
「うむ、だがそこはプロ。バンザイしたままで
“しかし確実性をもっと固める必要がある”と考え再実験を何度も試みたそうだ。
しかも時期を変えてまで再び実験したそうだぞ」
「粘着気質でないと研究者は務まらないでありますねえ」
結果、そのメダカたちは間違いなく無重力状態に強いことが確認され、
その子や孫たちも同じ結果だったそうです。
これは同一の遺伝子を持っているってことですね。
「となると、いまここにいる宇宙メダカも無重力に強い遺伝子を
引き継いでいる訳でありますね。
ジェット機を使った実験を試みてはいかがでしょう」
「それは無理でありますな、ぷちまる殿。ねこぼーし殿は貧乏でありますから、
ジェット機をチャーターする予算は出ないであります」
「しかし無重力なのにどうしてそのメダカたちだけ普通に泳げるのでありますか?」
…とここで前回書いた
「無重力空間において魚が頼るべきは「視力」しかありません」
が出てきます。
地上で魚は人間の三半規管にあたる「耳石」でまっすぐの姿勢をとっていますが、
無重力状態ではその耳石が使えません。
しかし、魚には背光反応というものがあり、
これは光の差す方向を目で判断し、光に向かって背中を向けるというもの。
この能力が高ければ魚は無重力状態でも光を頼りに
一定の姿勢を保てるのです。
「つまり、普通に泳げるメダカがいたということは…」
「通常地上では水の上から日光が当たるためそちらに背を向けることで体勢を保つ。
同じように無重力状態でも光の差し込んでくる方向を目で認識し
そちらに背を向ける姿勢を保っていたらしい。
それが、背光反応が優れているというわけでありますな」
そうです。「背光反応が優れている=視力が優れたメダカ」というわけです。
↓窓からの光に対して背を向ける「背光反応」(※イメージ画像)
もうひとつ。宇宙飛行士にもひどい宇宙酔いをする人と
それほどでもない人がいるそうですから、
どうやらメダカにだって無重力に強い(背光反応の能力が優れた)メダカと
そうでないものがいる、という事もあるでしょうね。
こうして選ばれたメダカの中からさらに、無重力状態中でも
通常通りの産卵行動を、しかも毎日行うメダカが4匹選ばれました。
向井さんとスペースシャトルに乗った彼らは、
こうして選ばれ抜かれたエリートメダカだったのですよ。
実験に耐えたたくさんのメダカさんたち、お疲れさまでした。
もちろん実験にかかわった皆さまもたいへんお疲れさまでした。
「人間とメダカたちの努力の結晶でありますな」
「素晴らしいであります」
今回の記事は以下の各サイトを参考に文章を構成しました。

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